うみねこのなく頃に 9話「skewer」
「skewer」とは「串」のこと。
チェスにおいては自駒の射線上に相手の駒が二つある状態で、その中でも直接狙ってる(手前の)駒の方が価値が高い場合が「skewer」に該当するんだそう。たとえばビショップの射線上に手前にキング、その背後にルークがあって、キングが避けたらルークが取られるみたいな感じ。なんで今回このサブタイなんだろう?
朱志香と嘉音を放置したままだったので、全員が連れ立って朱志香の部屋までやって来ると、扉には月の1の魔法陣が。下から見上げるようなアングルで魔法陣の不気味さが際立つ。
室内では朱志香が杭で背中を貫かれて息絶えており、さらに嘉音の姿もなかった。そして楼座は部屋固有の鍵を室内から発見。施錠できたのはマスターキーを所持する使用人のみという流れに。
今回のおもしろポイント。楼座の提唱する熊沢犯人説と郷田犯人説。悪い顔しとるで。なお紗音と源次は金蔵の書斎にいたためアリバイがあるとして容疑者から外される。金蔵もグルだったらどうすんだよ。
「まさか、嘉音くんがベアトリーチェに買収されたって言うつもりかよ…!」
熊沢と郷田を容疑者から外すなら、所在不明の嘉音が最も怪しいと主張する楼座。事件には金蔵の黄金が関与している可能性が高いとし、嘉音は魔女に買収されたか、あるいは黄金の独占を目論んでいるかもしれないと推測。そして楼座は、「朱志香殺しの犯人は嘉音である」と宣言。
「全然駄目だ!」
楼座の強引な論法に一同が困惑する中、戦人が反論。キターって感じのはずの展開なんだけど、微妙に盛り上がらない。
やっぱ全体的に葛藤の描写が足りてないというか、原作だと感動的なBGMに合わせて朱志香の亡霊が嘉音の無実を訴えるシーンとかあるんですよ。そういう「溜め」のシーンが尺で削られてるのがアレやね。
戦人は「貴賓室の開錠時に朱志香がマスターキーを借りたままだったかもしれない」と仮説を展開。その推理通り、南條が朱志香の死体から嘉音のマスターキーを発見。これにより嘉音がマスターキーで部屋を施錠することが不可能だったことになる。
嘉音の無実は証明されたが、「では犯人はどうやって施錠したのか?」という問題が浮上する。メタ戦人は使用人たちを疑わずに密室を構築する方法を考えるもベアトリーチェの赤字で追い詰められる。
「頭がごちゃごちゃしてきやがった。少し整理させろ…。えっと…まず大前提として魔法は存在しない…」
「存在するぞ? 魔法は。くっくっく!」
なんやねんこの会話。
ややこしい密室論議なんだから、ちょっとでも話を整理してくれ。中身なさすぎな台詞を詰め込む尺はねえんだよ。このへんBGMも相まって視聴してるのがつらくなる。
このアングルはかっこよくて好き。
「他の誰でもない、そなた自身が扉を閉ざしているのだ」
しかしマスターキーを所持する使用人を疑えば、そもそも密室でも何でもないとベアトリーチェが指摘。戦人の致命的な弱点である「身内を疑いたくない」という心理。
戦人はリザインを宣言。協調性のない言動について詫び、楼座も軽率な推理だったと謝罪。
食事は缶詰オンリー。まあこれくらい量は必要だよね。EP1の鯖缶1個はどういうつもりだったんだ、マジで。
郷田の料理が食べられないと嘆く南條に、食材に毒が混入されているかもしれないからと宥める戦人。礼拝堂の6人殺しも凄惨な死体状況に誤魔化されがちだけど、あれが「死後損壊」であると考えるならば、直接の死因は毒殺が妥当なんですよね。
紗音ちゃんのおっぱい。
「狼を追い出したってことっすか?」
食事の後片付けのため厨房へと向かう使用人たち。楼座は南條にも退室するように促す。そして客間に残るのは右代宮の親族のみに。依然として使用人を疑い続ける楼座。
戦人が発言した「狼」とは、真里亞の所持するクイズブック「狼と羊のパズル」からの引用。さすがにEP2のキーワードだからちゃんと尺を割く。
一方、厨房。郷田は「まかない」として開封した食材を調理していた。事件中とは思えない和やかさである。そんなリラックスタイムも束の間、勝手口から奇妙な物音が。郷田が恐る恐る確認する。
源次もナイフを手に取り臨戦態勢。
郷田が扉を開けると、どさりと床に倒れ込む人影。…物音の正体は瀕死の嘉音だった。
「犯人は……楼座さま……ァ……」
このへんの小林ゆうの演技が色々すごい。
楼座への報告は後回しに、重傷の嘉音を手当てするため使用人室へ運び込む一同。
急に何かを思い立ち、外へと駆けだしていく紗音。そして彼女はボイラー室で何かを発見する。
使用人室では、先ほどまで死に瀕していた嘉音が急に立ち上がり、朗々と喋り始める。その異様な状況に驚きを隠せない南條。
「大丈夫、ほら。全然大したことないでしょ…?」
傷は痛くないのかと問われ、くちゅくちゅと傷口で自慰行為を始めちゃう嘉音。いやモザイクなんか修正するから、そういう風に見えちゃう…。
「あなたは本当に嘉音くん?! 嘉音くんは傷口オナニーなんかしない!」
ボイラー室から戻ってきた紗音が手にしているのは、ハンカチで拭き取った「蜘蛛の巣」。本当の嘉音ならば蜘蛛の巣なんて何の効果もないはず。しかし目の前の彼にとって蜘蛛が天敵なら…と、紗音は蜘蛛の巣を近づける。
そのとき一閃。紗音は瞬時に跳び退いたものの、傍にいた南條と熊沢の首が切断され血が噴出。ここからが今回の見どころ。
紗音目掛けて飛び掛かる嘉音!
しかし間一髪で紗音を抱え寄せ床を転げて回避する源次。
そして郷田の料理人タックルが炸裂し、壁へと押し込まれた嘉音。そこに源次の華麗なるナイフ投げが決まる! この一連のアクションは緩急あって見応えがあるぞ!
紗音から蜘蛛の巣を受け取る源次。ここ作画もいいし、めちゃめちゃ渋くてかっこいいんですよ。
「な、何だったんだ今のは……。わた…、私は、確かにアレをこの手で……!」
蜘蛛の巣を押し付けられた嘉音は霧散して消滅する。そして郷田は眼前の出来事を信じられないといった表情で自身の掌を見つめるのだった。
…というところでエンディングへ。9話は序盤中盤かなりしんどかったけど、最後のアクションは割とキレキレだったので良かったかな。