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うみねこのなく頃に 1話「opening」

2009年に放送されたアニメ「うみねこのなく頃に」。

前作「ひぐらし」シリーズのヒットを受けて、鳴り物入りでアニメ化されたのだが、結果としてはあまり芳しい成績は残せなかった。

念のため補足しておくが、当時の「うみねこ」は人気絶頂であり、ちょうどアニメが始まるのは「散」シリーズの一発目であるEP5が頒布される頃で、非常に注目を浴びているメジャーコンテンツだったのだ。

にもかかわらず、売れなかった。少なくとも10周年を迎える2019年現在でもアニメ二期の企画は発表されていない。

その理由は何故か? 簡潔に言えば、つまらないのである。確かに原作の内容を踏まえて、推理要素の伏線もきちんと盛り込んだ誠実な作品ではあると思うのだが、残念ながらつまらないのである。

 

というわけで前置きが長くなったが、今更ながらうみねこアニメを見返して感想を呟いていこうと思う。

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原作と同じく、金蔵の書斎から物語が始まる。

「で? 私はあと、どのくらい持つ?」「三ヵ月、ほどかと…」

金蔵が余命僅かであることを視聴者に伝えるシーンだが、アニメだと非常にストレートな台詞の応酬だ。一方で原作の南條は「長くはありませんな」と答えてからチェスの盤面で余命の短さを喩えだす。

結局のところ原作がサウンドノベル媒体であり、尺のことなど気にせず回りくどい表現を多用している(それによって独特の雰囲気を形成している部分がある)のに対し、アニメでは非常に限られた尺の中でシナリオを消化しなければならないという弱点があり、それが「つまらなさ」の一因になっているのである。

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そして開始5分たらずで島に到着。ちなみに原作で普通に読み進めると、島に到着するまでに30分以上はかかるので、それだけでアニメ1話分の尺が潰れてしまう。

その後もテンポよく戦人がモノローグで親族紹介を済ませる。留弗夫や朱志香なんて難読名にツッコミを入れている暇はないのだ。どうせ次の話には6人死んでるんだから全員の顔と名前を覚えてもらっても仕方ないのだ。

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昼食のためにいとこ組が屋敷へ移動するシーン。引きの画だが、紗音がきちんと扉を閉めるという演技が細かい。こういった日常部分の演出はやや古臭い気もするが丁寧な印象がある。

その後の昼食シーンも親族が食堂に揃うためキャラ紹介の絶好のチャンスなのだが、台詞のやり取りなどは省略。戦人は右代宮家の再興エピソードを語るのに忙しいのである。

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「さてと、親父の財産について話し合おうじゃないか」

あまりにも露骨な話の切り出し方である。

大人たちのキナ臭い会議シーンも、話の要点を抑えてはいるのだが、細かい説明や描写が省かれているので「なんかギスギスしてんなあ」という雰囲気しか伝わらない。逆に言えばそれさえ伝わればいいということなのだろうが…。

少なくともここで絵羽や留弗夫が言及する「ホテル」とやらが、親族が宿泊するゲストハウス「渡来庵」であることなどは新規視聴者には把握できないと思う。

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なんで譲治正座してんの?

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庭園で真里亞の薔薇を探す一同。強風によって髪がなびいてる作画がよく、楼座を見つけたときの真里亞の仕草が非常に可愛らしい。この薔薇探し~ビンタ炸裂あたりのシーンは1話の中でも特に力が入ってるように思う。

1話の内容としては真里亞が「ベアトリーチェに傘を貸してもらった」と宣言するところで終了。

アニメ「ひぐらし」が各章冒頭にキャッチーな残虐シーンを配置して視聴者の興味を惹いたことを思えば、やや派手さに欠けるかなといった印象を受ける。ただ原作ゲームもEpisode1の時点では展開が地味だなどと言われていたので、仕方あるまい。

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一人で庭園に残る真里亞の背後に謎の人物……。とはいえ完全な黒シルエットではなく、よく見ればモロにベアトリーチェである。